Studio Nicholson Woman - Angela Reynolds
「女性は、もっとリアルであるべきだと思うんです」と語るのは、Studio Nicholsonのクリエイティブディレクター兼創設者であるニック・ウェイクマン。彼女は、クラシックなメンズウェアを女性のために再解釈することからブランドをスタートさせました。「女性として、私たちがどのように服を着るのかに興味があります」
アンジェラは、東京の自宅にて三瓶将宏によって撮影。映像はレイチェル・チー・ミラー。
着用アイテム:Araz Jacket in Darkest Navy、Rond T-Shirt in Black Grape、Hera Pant in Cocoa、Moon Shoes in Black
なぜ今日このアイテムを選びましたか?
「年々、心地よさや感覚的なものをより大切にするようになりました。生地が肌に触れる感触や、シャツやトラウザーのフィット感。ゆったりとしたシルエットのスーツも好きですね。Studio Nicholsonのスーツには、リラックスしてるのに決してルーズに見えない、絶妙なバランスがあります」
優れた服とは、本来どうあるべきでしょうか?
「自分の意志を高め、内なるスピリットを引き出してくれるものであるべきだと思います。人生におけるミッションに向かって前進したり、高みを目指したりするときに、そっと背中を押してくれるような服がいいですね。同時に、自分を守ってくれる大切なプロテクションにもなります」
他人の装いは気になりますか?
「もともと服についてあれこれ考えるタイプではなく、特に買い物は大の苦手なんです。ただ、スタイルというものは、力を持つものだと思っていますし、楽しんでいます。私にとってのスタイルとは、 ブランドやアイテムそのものよりも、その人がどう人生に向き合い、どんな価値観を持って生きているか、という内面から滲み出てくるものなのです」
最近、心が震えるほど嬉しかった装いは?
「私の好みはとてもクラシックで、コーディネートもあまり飾り立てることはしません。でも、シルエットの美しいパンツに出会えたときは心が躍りますね」
仕事以外では何を着ていますか?
「サーフィンをするので、夏は身軽な格好ですし、冬はウェットスーツ着ることも多いですね。普段は母親であり、キャリアを持つ人間ですが、夫とディナーに出かけるときなどは少し気分を変えたくなります。お気に入りの服やジュエリーを身につけたり、髪型やメイクをいつもと変えたり。そうやって変化を楽しむのは素敵なことですよね。」
服に特別な意味を感じることは?
「インドを旅してヨガばかりしていた20代は、今とはまったく違う服を着ていました。人生のそれぞれのステージで手に入れた思い出の品は、どれも私にとって愛おしく、自分の一部のような存在です。服というのはとてもパーソナルなもの。たとえば毎日会えるわけではない大切な人からセーターを贈られたら、そこにはとても特別な意味が宿ります。服が自分を包み込み、支えてくれる。それは本当に素晴らしいことだと思います」
「おしゃれな女性」に対する最大の誤解は何だと思いますか?
「おしゃれな女性は服のことばかり考えている、あるいは自分の見え方をとても気にしている、という思い込み。でも私の考えでは、本当にスタイリッシュな女性というのは、目的を持って人生を生き、自分のミッションに突き進んでいる女性のことです」
あなたのスタイルアイコンは?
「難しい質問ですね。キャサリン・ヘプバーン、それから、私のゴッドマザーであり素晴らしいヨガ講師のアンジェラ・ファーマー。彼女は世界中を旅する中で、訪れた先々で素敵なものを少しずつ集めてきました。常に自分の身体と呼吸に向き合っているからこそ、その身体はとても美しい。身のこなしがとても軽やかで、その人が自分の体をどう運ぶかは、スタイルにおいて非常に大きな要素だと思います。私にとってキャサリン・ヘプバーンが魅力的なのも、そのボディ・ランゲージ、つまり彼女の佇まいゆえです。私は幼い頃、女の子らしく(あるいは男の子らしく)振る舞うべきかどうかを意識せずに育ちました。だから、自分のスタイルが“マニッシュ”と呼ばれることがあっても、それを目指そうと思ったことはありません。ただ、時計はメンズのものが好きです。手が大きいのでバランスがいいし、少し重みを感じるのが好き。でも、それはフェミニンかマスキュリンかという話ではありません」
モデルになった頃の思い出は?
「10代の頃、渋谷や原宿に行くと、いつもスカウトの人がいました。当時の自分は全くモデルには見えませんでしたし、ファッションのことも何も知りませんでした。ある時から兄がモデルをしていて、私がある日持ち帰ったスカウトのカードを見ては、日本でも有数のエージェンシーだと言われて、最終的にはその事務所にお世話になることになりました。仕事を始めてからは古本屋に通い、30〜60年代の『Vogue』や『Harper’s Bazaar』を一日中そこに座り込んで眺めていました。それが大きな刺激になりました」
アーティストだったお母様の影響は?
「母は毎日家で絵を描いていました。でも、アートのキャリアにおいて野心的でも商業的でもありませんでした。私が12歳のときに病気で母を亡くしたのですが、母のスケッチブックにトレーシングペーパーを重ねて、その線をなぞっていた時期があります。それが今のコンテンポラリーアートの世界で私がしていることに、直接つながっているかは分かりませんが、私の根底には間違いなくその経験が息づいているのだと思います」
アートキュレーションの魅力は?
「誰かの世界を深くダイブできること。作品の美学やテーマだけでなく、その人の魂や精神、心や思考に触れられる。それは、人間というものを理解するための最高に刺激的な方法です」
今、関心のあるアートの動向は?
「近年発表されている作品の多くが、とてもパーソナルな背景を持っている点に惹かれます。「すべてのアートは個人的なものだ」と言われれば確かにその通りなのですが、いま出てきている多くの作品は、特定のスタイルやムーブメント、あるいは「アートとはこうあるべきだ」という既成の解釈ではなく、作家自身の内面や人生そのものから直接湧き上がってきたものが増えていると感じます」
優れたアート作品とは?
「心に触れるもの、誰かの人生を救うもの、気づきを与えてくれるもの。そして、視野を広げ、閉ざされていた何かを解き放ってくれるようなもの、ですかね」
あなたのスタイルと人物像を三つの言葉で。
「Committed(信念)、Individualist(個)、そしてOpen(開放)です」
INTERVIEW WITH SIMON CHILVERS
VIDEO BY Rachel Chie Miller