Studio Nicholson Woman - Yoona Hur

「女性は、もっとリアルであるべきだと思うんです」と語るのは、Studio Nicholsonのクリエイティブディレクター兼創設者であるニック・ウェイクマン。彼女は、クラシックなメンズウェアを女性のために再解釈することからブランドをスタートさせました。「女性として、私たちがどのように服を着るのかに興味があります」“Studio Nicholson WOMAN”は、リアルな女性たちとの対話を通してウィメンズウェアの意味を探る、新たなエディトリアルシリーズです。
ユナ・ハーは、自身の韓国的ルーツを深く制作に反映させているアーティストです。シカゴ美術館附属美術大学でファインアートを学んだ後、2010年にクーパー・ユニオンで建築を専攻して卒業。建築家として働いたのち、アーティストとしての道を歩み始めました。現在はニューヨークを拠点に活動する彼女ですが、何年も前にメトロポリタン美術館で韓国の月壺(ダルハンアリ)に初めて出会った経験が、今では作品制作の根幹となっています。30代半ば、自らの手で創作すること、そして韓国とのつながりを取り戻したいという強い思いから、彼女はソウルへ戻り、陶芸の実践や韓国の素材文化・歴史に深く浸っていきました。現在は陶芸と韓紙(ハンジ)による絵画を横断しながら、地に足がつきつつも、どこか無重力のような瞑想的空間を探求しています。
ユナは、ニューヨークのアトリエでクレマン・パスカルによって撮影され、映像はケヴィン・ジョンソンが手掛けました。
彼女が着用しているのは、Bone カラーの Delos Shirt、Canvas カラーの Chalco Linen Pant、Black の Barlow Shoe
素晴らしい服とは、どうあるべきですか?
「私は、身体を自由に動かせる服を求めています。ゆったりとして解放感があり、柔らかくリラックスして着られるもの。均整の取れたフォルムやプロポーション、テーラリングが好きですね。」
女性として、服はどんな感覚を与えてくれるべきだと思いますか?
「すべてを包み込むような感覚。私たちは海のように多面的な存在だから、女性としての感覚は季節や時間帯、その場所や都市、何をしているか、誰に会うかによって変化します。服には、その瞬間の一部になってほしい。自分の感情や意思と密接につながっていてほしいんです。」
今日この服を選んだ理由は?
「オーバーサイズで柔らかい構造のシャツとパンツを同系色で着るのが好きなんです。そうすると、一続きのボリュームとして見えるので。Studio Nicholson の服には、静かな構築性を持ちながらも流動的なフォルムがあります。特にリネンやコットンなど、色味や質感にも強く惹かれています。」
ミニマルでシンプルな服だからこそ、“自分らしく”いられると思いますか?
「はい。Nick の服にはまさにそれがあると思います。動きの中にそれを感じますね。快適だから、他の活動に集中できる。私はほとんどスタジオで制作したり、街を移動しているので、服そのものより、“その服を着てどう感じるか”、そして“どれだけ多用途か”を大切にしています。」
何度も惹かれてしまう服のカテゴリーはありますか?
「特定のカテゴリーに戻るというより、私は“他の女性たちが何を作るのか”に惹かれます。彼女たちがどうテクスチャーや色、フォルムを使うのか。そこにどんな哲学やインスピレーションがあるのか。自分が共鳴したり、純粋に興味を持ったものには自然と手が伸びます。」
建築からアートへの転向は、どのように起こったのでしょう?
「ニューヨークで長年建築家として働いていました。でも次第に、自分の中の本質的な何かが欠けていると感じ始めたんです。幼い頃にソウルの家族と離れたことで、韓国的なルーツとのつながりを失っていたからです。そして、自分の手で、自分のペースで何かを作りたいという思いも強くなっていきました。最終的にフルタイムの建築家としてのキャリアを手放し、アーティストとしての道を選びました。その転機が、私を再び韓国へ導いたんです。約1年をかけて、伝統や風景、儀式、食、人々を通して、韓国との関係を包括的に学び直し、再発見していきました。韓国には、芸術、建築、工芸、哲学において非常に豊かな歴史があります。私は今もその関係性を深め続けています。自分の直感や、心と身体を養ってくれる深い体験に従うこと。それが、この変化と進化の大きな一部でした。」
あなたの制作プロセス/実践をどう表現しますか?
「瞑想的で、素材主導的。形、空白、文化的記憶が同じ重みを持っています。作品は、私の中に刻まれたさまざまな体験の痕跡から生まれ、それを他者と共有したいという思いから立ち現れてきます。」
あなたの作品には、静けさや落ち着きがありますね。
「これは韓紙の絵画なんですが、とても身体的で、繊細で、静かなものです。こうした余白のある空間は、感覚を目覚めさせ、癒してくれる。その静かな均衡感覚が、作品という物理的存在を超えて広がっていくことに興味があります。」
作品における素材性について教えてください。
「素材が手の中でどう感じられるかはとても重要です。でも同時に、“視覚的な触感”にも敏感なんです。目で見たときに、その質感がどう感じられるか。土について言えば、“重さ”が重要ですね。歴史的な月壺は精製された磁器で作られていますし、私もそれを扱ってきました。でも今は、もう少し粗く、テクスチャーがあり、重みのある土を好んでいます。一方、韓紙はその対極にあります。軽くて、繊細で、透明。でも触感という意味では、どちらも柔らかく、受容的なんです。紙と土に惹かれるのは、それらが“こちらを受け入れてくれる”から。他の素材は抵抗するけれど、紙と土は引き込み、流動的でいさせてくれる。そこには、動きと形の相互作用があります。」
優れたアート作品とは、何をもたらすべきでしょう?
「私は、素材や視覚世界の限界から解き放たれようとする作品が好きです。ルイーズ・ブルジョワの作品には、その“生々しさ”を感じます。強烈なエネルギーが、形やフレームから外へ螺旋状に飛び出そうとしているような。一方で、チョン・チャンソプの単色的で強いテクスチャーを持つ絵画には、とても grounding な感覚があります。そこには空白と静けさがあり、判断やエゴを超えた場所から生まれているように感じます。彼の抽象表現は、素材そのものへの敬意と驚き、そしてその瞬間の身体と手が生み出したものに根ざしています。」
あなたにとって特別な芸術的場所はありますか?
「韓国にある安藤忠雄の建築プロジェクト、Museum SAN です。ドーム空間に入ると、自我が静まっていくような感覚があります。
足音や心拍、ゆっくりと動く人々の気配が響き合い、周囲の山々を切り取る開口部へと導いてくれる。内側にいながら外にもいるような感覚になり、その体験は言葉では説明しきれません。」
あなたのスタイルと人格を表す3つの言葉は?
「好奇心、直感、そしてスピリチュアル。それらが、この人生という神秘の中で私を地に足のついた状態に保ってくれています。」
最新の WOMAN エディトリアル “Yoona Hur” の公開を記念して、Studio Nicholson はソウル・西村(ソチョン)の Youthquake Gallery にて展示会を開催しました。会場では、Studio Nicholson のグローバル WOMAN キャンペーンシリーズと、2026年秋冬コレクションの限定プレビューが公開されました。
Studio Nicholson WOMAN 展は、2026年5月1日から5月3日まで、ソウル・西村の Youthquake Gallery にて一般公開されました。