STUDIO NICHOLSON WOMAN
ソフィア・コッポラやニコール・キッドマンの撮影経験を持つボースウィック、そして1990年代にカルバン・クラインのショーに出演し、シャネルなどのキャンペーンにも登場したマルネイとのコラボレーションは、ウェイクマンが考える“女性の服の着方”を具現化する上で中心的だった。「ビビは女性を本当によく理解していて、写真に収めるのが大好きなの。オードリーは人生を生きてきて、子どももいて、意見や視点を持っている」と彼女は言う。
Studio Nicholsonが15周年を迎えたばかりの今、ウェイクマン自身は未来を見据え、女性向けコレクションの方向性について新たな明確さを感じている。「今のウィメンズウェアには騒がしさが多すぎる。完璧な若い女性たちが、とても高価な服を着ているけれど、本当にリアルには見えないのは皮肉なこと。しかも、私が出会う多くの若い女性は、少し年上の誰かに憧れているんだ」と彼女は語る。
Studio Nicholsonでは、ウェイクマン自身のように自分の視点を持ち、服を自分のために選ぶ女性を称え、表現することを重視している。「多くの女性は、自分の人生の中の様々な要素にインスパイアされて服を選んでいる。昔持っていてそのとき素敵に感じたアイテムが、今また自分にとって意味を持つこともある。あるいは観たばかりの映画や写真集に影響を受けることも。基本的には態度や気持ち、欲望の表れであって、ファッションそのものではないの」と彼女は微笑む。
撮影でのアイテムは、多くの場合、硬さと柔らかさの対比をテーマにしている。文字通りの意味でも、態度としても。「強そうなレザーボンバージャケットを買うなら、シルクのシャツやスカート、ドレスの上に重ねるかもしれない」とウェイクマンは提案する。同様に、メンズライクなオーバーコートをシルクのパジャマ風セットと合わせることも。「ウィメンズコレクションでは、ある種の官能性を意識することが増えている」と彼女は付け加える。
Studio Nicholsonでは、服のフィジカルな感覚や着心地を常に最重要視してきた。「肌に触れるものはとても大切。テクスチャーや手触りには徹底的にこだわっている。たとえばレザージャケットの硬い外側は、裏地や間に挟むレイヤーで、必ず柔らかさと調和させるべき」と彼女は語る。
また、メンズウェアのシルエットやマスキュリンな要素を遊ぶことも、女性の服の考え方として常にウェイクマンのビジョンに近い。ユニセックスのALPHヴァーシティにプリーツ入りチノを合わせたり、メンズブレザーに女性用シルクブラウスやメンズのRISOジーンズを組み合わせたり――男性のコードを女性が自分の望みに合わせて変化させるという考え方は、Studio Nicholson創設当初からの哲学だ。彼女自身もメンズスーツのブレザーを解体し、自分用、そしてブランド用に再構築してきた。
「マスキュリンとフェミニンの間には、とても美しい道がある」と彼女は言う。「口紅をつけるかもしれないし、ジュエリーを身に着けるかもしれない。マスキュリンなアイテムを着るなら、よりフェミニンなものを足すべきか?髪型の問題かもしれないし、その日の気分次第かもしれない」。今回の撮影でのジュエリーは、ブラジルのデザイナー、フェルナンド・ジョルジェのコレクションから選ばれた。「フェルナンドの作品は大胆でダイヤモンドが豊富で、服にすごく合うと思った」と彼女は言う。
撮影中に3人は衣装についてじっくり話したのかと尋ねると、ウェイクマンは笑う。「もちろん話したわ。けれど奇妙なことに、全身のルックを考えるというよりも、ワードローブのカテゴリーごとに、必ず戻ってくるアイテムや、それぞれが何をするべきか、どんな形であるべきかを考える感じだった」と彼女は言葉を区切る。「あるいは、どういう感覚であるべきか、ね」。
INTERVIEW WITH NICK WAKEMAN BY SIMON CHILVERS
Documented by Bibi Borthwick